2012-06-12
モケットのいす2
前々回に書いていた、いすの張り替え。
こんな風になりました。
「Re:椅子」のイメージということで、きれいな緑色のモケット生地を。
座面のテープはのびきっていたので全部とりのぞき、
ウェーブ状のバネを入れました。
肘や背もたれに入っていたクッションもすべて交換して
座り心地はぐんと向上。見た目もプリッと、
ハリのあるいすに生まれ変わりました。
ダイニングチェアながら、ちょっとしたソファのような座り心地、存在感です。
お納め先はスタイリッシュな新築住宅。
コンクリート打ちっぱなしの壁に巾の広い無垢材のフローリング、
自然光の柔らかく差し込む、広々としたダイニングキッチンの真ん中に
ふわっとした緑色が良く映えます。
青々とした芝生と大きなシンボルツリーがある中庭に面した設計で
とても気持ちのよい空間でした。
後ろ姿。
鋲の仕上げがご希望だったので
金色の鋲をポイントで使いました。
この椅子、フレームはとってもしっかり作られていて
びくともしていなかったのですが
座面は買って一年もしないうちに落ちてしまったとのこと。
古い生地をめくってみても、せっかくこんなに良い枠が作れるのに、
どうして張り部分でこんなお粗末な材料、やり方を。。。と
残念に思いました。
安い椅子なら、少しは疑っても見ますが、ある程度のものになると
値段で信頼してしまうところはあると思います。
買う時には外から見る分には中身までは分からないので、困ったものですよね。
作る側はもっと良心と責任感を持って作って欲しいものです。。
2012-06-02
モケットのいす
さあて、のんびりしている暇はありません。
順番待ちの椅子たちを日替わりでこなし、
今日はこちらのダイニングチェア、相当お疲れの様子。
座面がぽっこりへっこんでしまって
座り心地は・・・。
裏返して底の布を剥がしてみれば、
バネ代わりのはずのテープが伸びきって
ウレタンもその状態で成型されています。
この、モダンな椅子を、レトロに「Re:椅子」のイメージで
張り替えるご要望です。
さてさて、どうなるでしょうか。
つづく
2012-04-19
リズミカルに
2012-03-28
アイボリーのソファ
ほんとうに、1月、2月、3月と日が経つのが早いですね。。
またまた随分前のはなしになってしまいましたが
三人掛けのアイボリーのソファをお納めしてきました。
張り替え前の状態です。
20年程前に購入されたこのソファ。
もともとカバーリングタイプで
一度カバーを作り直されたそうですが、
コットン地のカバーは洗濯するとものすごく縮んでしまい、
苦労されたそう。また、本体のカバーは傷んでしまったため、
外した状態で使われていて、下地の張り部分も破れてきていました。
そういうわけで、このたび、お家のリフォームにあわせて
すっかり綺麗にしてしまおうと
本体の張り替え、カバーの製作のご依頼をいただきました。
まずは、本体の張り替えです。
下張り用の、さらっとした薄めの生地で張ります。
長い間使われていたのに、フレームはびくともしません。
座面クッションの下に入っているバネもだいじょうぶ。
ウレタンはさすがに、劣化しているので、取り替えましたが
とってもキッチリ作ってある印象をうけました。
特に、カバーをかけて使うため見えない部分でも、
きれいな手縫いで処理されているところをみて、
細やかな仕事だなあと、感心。勉強になりました。
(大手メーカーやブランドのものでも、開けてみれば
まあこんなものか、、というものが多いのです。)
さて、このパンと張られたソファに
さらにカバーを作ります。
座と背もたれのクッション三つずつ。
そして肘と背もたれ、座面すべてが繋がった、大きなカバーです。
カバーはまた、本体とは型がちがうため(ゆるめにつくる)
もう一度型を取ります。
二回張り替えをしているような感じ。
カバーって張り替えるより安く付くかしらと思う方も
多いようですが、結局同じように型をとらなければならず、
生地もたくさん要るし、さらに、裏(縫い代)の処理もしなければならないので
結構大変なのです。
今回ずいぶん悩んで選ばれた生地は、イタリア製のコットンリネン。
サラッと気持ち良く、表情のある布です。
洗濯によって縮むので、前もって一度水通しをしておきましたが
気兼ねなくまた洗ってもらえるように
かなりオーバーサイズにお作りしました。
いつもはぴっちり型をとって、ぴしっと張るしごとなので
この、大きめにつくるというのも、なかなか難しかったですが、、。
出来上がってみれば、ルーズな感じもこの布だから味があり、
麻ならではのシワ感もこのソファに似合っているのではないでしょうか?
白とグレーを基調にしたシンプルなお部屋に
麻のナチュラルな白さが良く合います。
洋書のインテリア雑誌に出てくるお部屋のよう。
お手持ちのクッションともちょうどぴったりでした。
新しくなったソファで、どうぞまたくつろいでくださいね。
2012-02-08
自分だけの椅子
今日お迎えのあった、古いアームチェアです。
ご依頼主さまは、この日記を楽しみに読んで下さっていかた。
読んでいるうちにだんだん椅子に愛着がわいてきて、とおっしゃいます。
ついにご自身も張り替える機会が訪れて、ご来店されました。
お話ししていると、家具を探されていて
「○印にIK○A、どの家にいっても同じ家具がならんで
同じような部屋をつくっていると思うと、、。
もう疲れました。」とのこと。
そこで、古い椅子を自分だけのいすに
張り替えようと、持ち込まれたのです。
なんだか、嬉しかったです。
このつたない日記でも
量産品にはない古い椅子や手仕事の椅子の良さ、
椅子を張り替えることの楽しみ、
自分だけの椅子を待つ、わくわくした気持ち。
そんな私たちのいろんなメッセージが
届いているんだなと。
(もっと頑張って書かなければとも。)
・・・
さて、そんなこの椅子の張り替え前は
茶色のざっくりとした布。
随分劣化して固くなっていました。
裏側はこんな。
ぽろぽろと埃やくずが落ちてきます。
途中の行程を撮り忘れましたが
古い布やバネをスッキリ取り除き、新しいバネと詰め物を入れ直して
雰囲気を変えずに、茶色のぽこぽこ厚めの生地で張り替え。
お部屋にも馴染みそうです。
この椅子に座って、ゆっくりとご自分だけの時間を
楽しんでくださいね。
ありがとうございました。