2013-01-19
布→革
書きそびれて、もう去年のことなってしまいましたが、
ソファの張り替えの話。
こちらは、大阪の有名家具ショップT社さんのソファ。
インテリア好きなら知らない人はいない人気店です。
使い込まれて味わいの出た感じが、またここの家具の良さで、
ナチュラルで飾らないインテリアを好きな人にはたまらないようです。
全体のプロポーション、さりげなく凝ったデザインや
金属などのパーツの使い方もさすが。
ですが、使ううちに座り心地が、、、ということで
クッションの作り替えご依頼です。
確かに、座らせていただくと、
最初は「ぼふっと」して気持ちよい感じはしますが、
腰が、、、。長時間はキツそうです。
グニャグニャとして姿勢が定まらないのもしんどい原因です。
そこで、クッションと、本体両方から座り心地を改良しました。
まず、置きクッション。あけてみるととても手の込んだ作り。
中が何層にもわかれた内袋は、上下に羽根、真ん中にはウレタンが入っていました。
ぼふっとした感じは、この羽根のおかげですが
真ん中のウレタンが柔らかすぎるので、しんどいのです。
そこで、上面の羽根の層を生かしつつウレタンをしっかりしたものに交換、
側面まで回してあった羽根は型くずれの原因となるので上面だけにし、
側面には綿を貼付けてしっかりとしたかたちを出しつつ
丸い柔らかさを出しました。
表面の布のカバーは、革で作り替え。
オイルを染ませたしっとりしたヌメ革です。
かちっとハードになりすぎず、
もともとの、丸い雰囲気を再現するように、型をとりました。
また、本体は縦に金属のバネがむき出しで渡してある仕様だったのですが、
そちらも少し柔らかすぎることと、クッションが隙間に落ち込んでしまう
というお話だったので、
横方向にウェービングテープを編み込んで張り、
しっかりとさせました。
あっちこっちにずれて困るという、背もたれのクッションは、
革のベルトでフレームに固定。
柔らかい雰囲気は変えずに座り心地を良くする、というご希望だったのですが
布から革に変えるだけで、座ったときの感じも随分かわってきます。
そこのあたりの調整がなかなか難しく、ウレタンの重ね方、厚みなど
試行錯誤をかさねました。
完成。
ヌメ革が使い込まれて育っていくのが楽しみですね。
2012-12-21
天童木工の回転椅子
古い、天童木工の回転椅子の張り替えご依頼です。
赤いビニールレザーも随分かたくなってしまって
ところどころ破れています。
昔からうちにあった、とおっしゃるお客さま。
せっかくなら、がらっと雰囲気を変えてみましょう
ということに。
選ばれたのは、こんな明るい花柄。
まぶしい黄色とベージュの楕円がつらなって、
花模様をつくりだしている生地は
さすがフランスのメーカー、という華やかさ。
背もたれの裏側はベージュの無地を合わせました。
完成!
曲げ木を得意とする天童木工、この椅子のフレームも
一枚の合板を曲げて形づくってあります。
すごいですね。
よくこんな椅子作ろうと思うなあ、とイスオさん。
伸びにくい生地だったため、このかたちに沿わせて
一枚の布で張るのも、至難の業だったようです。
背もたれから座の裏にかけて、上の写真のように
縁にぐるっとピットという金具を仕込み、
それにビニールレザーを挟み込んで仕上げてありましたが
今回は手縫いにしました。
とっておきの一脚になりましたね!
2012-10-27
土手
アンティーク調の椅子の張り替えご依頼。
ダイニングチェアとしてお使いで、かなりくたびれた様子です。
めくると、こんな「土手」が現れました。
「土手」というのは、椅子のふちが崩れて来ないように
ぐるっと回してある、芯のような部分。
この椅子のモデルとなっている、
フランス、ロココ調のアンティーク椅子では、
獣毛をヘッシャンクロス(荒い麻の布)でくるんで
太い糸で縫い留めていく「ソク土手」という技法が使われてきました。
ちょうどよい画像がないため、日本式の、藁をヘッシャンクロスでくるんだ
土手の画像をのせておきます。
この技法はたいへん手間暇がかかり、技術もいるため、
量産向けに日本のこのメーカーは、上のようなゴムで成型した「土手」を
使っていたようです。
これならタッカーでパンパン、、ととめたら済むので
とても効率がよいのです。
でも、やっぱり耐久性ではかなわないようですね、
こんな有様に、、。
このかわりに新たに土手を巻くのは難しいため、
固いチップウレタンで土手をつくりなおす方法をとりました。
フランスからきた、モケット織の花のようなモチーフの並ぶ、
上品でかわいらしい生地がよく似合います。
2012-08-21
まるい回転椅子
古い小ぶりな回転椅子の張替えご依頼です。
すり切れ、色あせて、模様が見えないほど。
めくれてくるので、縁を他の布で貼付けてありました。
表面の布と古い綿を取り除いてみると
籐が現れました。
本来はこういう椅子だったのですね。
軽やかで素敵なのですが、強度的にもう限界です。
薄い板をこの形にあわせてカットし、
椅子の形のバランスにあった薄いめのクッション材をのせて
生地を張り、椅子本体に取付ける方法をとりました。
落ち着いた緑色に、植物文様がすてきです。
足の補強で入っている、丸いわっかが可愛らしく
優しい雰囲気の椅子でした。
そんな雰囲気にぴったりのご依頼主さま。
お近くとのことで、出来上がった椅子をだいじそうに
抱えて帰られました。
ありがとうございました。
2012-06-19
回転椅子
古い木製回転椅子の張り替え。
以前はしろうとさんがなおされたのでしょうか。
とてもラフに張ってあります。
クッション部分はひどいですが
フレームは傷もなくきれいで、脚の丸い輪っかがかわいいです。
これはすてきに生まれ変わりそう!
さてさて、めくってみると・・・。
ごみくず。。
バネは真ん中にひとつだけ!?
これではおしりがかわいそう。
ということで、ばねを四つに増やし、
こんなふうにうまれかわりました。
まるいかたちがかわいらしく、
座ってみるとすっぽりとはまりこみ、なんだか安心感が。
ブルーグレーの生地もよく似合っています。
後ろは鋲仕上げで。
早速この椅子に座ってお仕事されているそうです。
機能的なオフィスチェアとはまた違ったよさがありますよね。
ご依頼ありがとうございました!