2015-05-29
長大作のダイニングチェア張り替え
ダイニングチェアの張り替えご依頼。
もの自体はまだ新しいのですが、デザイナー長大作氏が
1953年に発表したオリジナルを忠実に再現した椅子だそうです。
ビニールレザーが汗でベタベタして不愉快とのことで
背もたれはそのまま、座面だけ布に張り替えることになりました。
無難に黒系の無地のファブリックを何点かお奨めしたのですが
それじゃなんだか面白くないなあと一点ご提案した水玉模様が
やっぱり気に入られたご依頼主のY様。
というのも、Y様は村上椅子のリピーターさん。
もう五年ほどのお付き合いになるでしょうか。
ご旅行でたまたまふらっと立ち寄られた私たちの店で、
「Re:椅子」に一目惚れされてから、椅子のことで何かあればご相談いただき、
これまでにピアノ椅子からスツール、ダイニングチェアなど
色々な椅子を張り替えさせていただきました。
その都度、候補の布を写真に撮ってはメールで送ってやりとり。
椅子をより魅力的にみせる張り替えをご提案してきました。
なので、だいたいお好みは分かってきたつもりです。
私たちのセンスをかっていただき、近くに張り替えできるところがあるのに
わざわざ広島から椅子をお送り下さるのだから、ありがたいことです。
・・・
さて、こんな風になりました。
へたってはいなかったものの少しクッションにコシがなかったので、
ウレタンを補強し、ふっくら気持ちよい座り心地に。
この椅子はぐるっと縁にパイピングが回っているのがポイントだと思います。
そこも水玉の布にするのが普通かもしれませんが、
そこはオリジナルの背もたれとの繋がりを持たせるべく
黒いビニールのパイピングを使いました。
全体がきゅっと締まった気がします。
お送りしたところ変身ぶりをたいそう気に入って下さり、
それをご覧になったご主人が、「俺の椅子も張り替えてもらいたい」
とおっしゃったとか。またはるばる大きな箱が届きそうです。
2015-04-28
革のソファ張り替え
あっという間に4月も終わり。
(いつも、こんなことを言っているような気もしますが、、)
店の軒下に這わせている「むべ」と「あけび」が旺盛に育っています。
街中にあっても緑に覆われた、森のようにしたいというイメージに
少しずつ近づいて嬉しいのですが、ほどよく手を入れないと、
色んなものに巻き付いてえらいことになりそう。
さて、四月からおちびさん二号の保育園生活がスタート。
ならし保育に時間がかかるだろうし、ゆるゆる復帰しようかなー
なんて思っていたら、すんなり一週間で通常保育になり、
それと同時にするべき仕事が次々と。。
なんだか良くわからないまま、お仕事モードに戻っております。
そんなこんなで、先日張り替えたソファ。
もう30年程使われていたそうで、革も破れています。
それ以上にウレタンの劣化がひどく、
沈み込みが大きいので腰を痛めてしまわれたとのこと。
確かに座ってみると、ブワブワしてなんとも居心地が定まらず、
しんどいです。
北欧のメーカーのものだそうで、座高が少し高い上に
座面の傾斜が結構きついのも原因となっています。
このソファ、上の部分(座と背と肘)が一体化されていて、
ぼこっと乗せてあるんです。
座のウレタンを固めのものにして何度も座って試してみますが
それだけでは、どうもしっくり来ません。
フレームの傾斜は変えられないので、
ウレタン部分で傾斜をゆるくする工夫をし、奥行きも少し浅く。
背もたれもしっかり目のウレタンで補強して座り心地を改善しました。
今度は少し温かめの色の革を選ばれました。
デザインもスッキリと変更。
また使われるうちに良い感じに馴染んでくることでしょう。
ご依頼ありがとうございました。
2014-10-28
the Story of My Life
安楽椅子の張り替えをご依頼いただきました。
上の写真は張り替え後のすがた。
張り替え前の写真をいつものごとく撮り忘れたので
変貌ぶりをお伝えできないのが残念です。
3~40年程前のカリモクの製品で、緑色のゴージャスな
花模様の張り地に滑らかな形のツヤ塗装のアーム。
当時よく流行ったのでしょうね。このシリーズの応接セットなど、
どこかで見た事のある椅子だと思います。
その椅子を、素敵に変身させられないかというご相談で
色の組み合わせでいくか、柄でいくか、悩むところ、、。
シンプルに布の力を借りようと、このユニークな張り地をご提案したところ
すぐに気に入っていただき話が進みました。
近づいてみて見ると、人の顔やら動物やら椅子やら
いろんなものが賑やかに描かれています。
タイトルは the Story of My Life、Maira Kalmanのデザインです。
モダン過ぎず、かといって古くさくなく、可愛らしすぎず
ほどよくクセがある。なかなか無い柄物です。
色は落ち着いていますが個性的な柄の布の力のおかげで、
最初は気になって変えたかったテカテカしているアーム部分は
そのままでも良いかなということになりました。
クッションのマチとぐるりについていたヒダヒダはやめて、
細いパイピングを回すシンプルな形に変え、
背もたれには共布でカバーを添えました。先には小さなタッセルを。
合わせてオットマンも欲しいとのことで、
ちょうどよさそうな物を見繕い、同じ生地で張り替え。
側面のマチ部分は柄の中の一色と合わせた黄緑色の別布で。
椅子の座のクッションの裏も同じ生地で揃えてあります。
シンプルなオットマン、木部の雰囲気は違いますが、
同じ布を張ることでゆるい統一感が出て良かったのではないでしょうか。
町家の縁側でゆったりと、気持ち良さそうですね。
2014-06-06
ロック製作所さん 張替編
先月の張り替えのお仕事。
引き上げてきたときの様子はこちらです→◎
良い感じに色あせたブルーが素敵なソファ、4脚です。
腰掛けたら沈み込みがちょっとしんどい。
クッションも本体に張ってあるテープもくたびれ模様です。
最初は全部張り替えようかということだったのですが、
このストライプのクッション部分が張ってあるのではなく
くるみボタンで留めつけてあるタイプだったので、
一度外して洗濯して再利用してはとご提案しました。
こんなふうに上と下にばらせます。
そして薄いグレーの本体部分のみを張り替え、
クッション部分は中身を出して洗濯。
クッションの中身はもう少ししっかりしたものに交換しました。
さて、もう一種類の椅子、こちらも4脚。
色あせてくたびれております。
低めのシートと、畳ズリ(ソリのような部分)。
木枠の楔(くさび)どめの印象的な、日本的な椅子です。
古い生地をめくると、オレンジ色の粉々になったクッション(通称赤ゴム)が。
現在使われているウレタンフォームの出てくる一時代前の素材です。
麻のテープも伸びて切れています。背もたれは藁が詰めてありました。
釘を全て抜いて、下ごしらえからやり直し。
いつものことなのですが、ここからはだだーっと作業に集中してしまうため、
写真を撮るということはすっかり頭になくなってしまうのです。。
というわけで、次回は飛んで納品編です。
2014-06-04
お屋敷のソファ 納品編
さてさて、なにやら楽しそうな様子。
いったい何が始まるのでしょう。
わっしょい、わっしょい。
まずは車の上に上げ、瓦屋根の上を通って
よいしょ!!
ソファが大きくて、階段から上げられないので
二階の窓から運び入れました。
心配をよそに、皆さんの協力であっけなく終了。
・・・
狭い作業場で見ていると大きいし、まっピンクだしで
目がチカチカ。どんななるんやろ、、と正直なところ思っていたのですが
さすが!!なんともすんなり、部屋に馴染んでいました。
この色柄をインテリアに取り入れられるセンスには感服です。
失礼いたしました。。
肘の外側、背もたれの後ろ側はベージュ色のモケットを組み合わせて。
トリム(縁飾り)には焦げ茶色をもってきて、メリハリをつけてみました。
肘の前のヒダも、元々に倣って細かくギャザーのように。
そして、普段使う大きな鋲ではなく、
細かい真鍮の釘で上品にとめました。
ひろびろ、明るく素敵な寝室ですね。