2016-03-05
肘掛け椅子張り替え

古い椅子の張り替えご依頼。
肘掛けや後ろ足などちょっとしたところの曲線が印象的な椅子です。
古い木造住宅の改修に伴って、取り壊される蔵から見つかった
ということでしたが、眠っていた年月なんと約80年。
ご依頼主様のおじいさまが80年前に中古住宅を購入された際、
前に住んでいた人が置いていったもので、
ずっと蔵に入れたままになっていたそうなのです。
住宅の改修にあたられた、半海宏一建築設計事務所さんのご提案で、
それを再び表舞台へとおくりだすことになり、
お手伝いさせていただきました。

柄物の布地は元の色が分からないぐらい、色褪せホコリだらけでした。
中身は、こんなようす。


背もたれの後ろがわにも、藁がはいっています。

さて、この椅子がこんな風に生まれ変わりました。
(ここから、お写真は半海さんご提供。ありがとうございます。)

木枠もいったんばらして修理。
磨き直すとつやつやの良い色になりました。
バネを入れ替え、詰め物をいれて、シックな黒いヌメ革で張り、
縁は鋲仕上げです。

椅子の元々のかたちのおかげで、黒い革でも重厚になりすぎず
新しい空間のアクセントとなっています。
座り心地も気に入っていただき、日々活躍してくれているそうです。
まさに、椅子が甦る、という感じがするお仕事でした。
買った方が安くて早い、かもしれませんが、
お金では買えないものがいろいろと詰まっているのです。
ご依頼ありがとうございました。
住宅改修のようす、興味を持たれた方は半海宏一建築設計事務所さんのブログをご覧ください。
2015-08-25
千鳥格子のはばひろソファ

とっても巾の広いソファの張り替えご依頼。
2メートル20センチもあり、余裕で四人は並んで座れます。
並行してほかの椅子も張り替え中で作業場に入れられないので
倉庫内でなんとか空間をつくってめくりの作業に。

ビニールレザーが剥離して、二色使いみたいになってしまってますが、
もとは緑色です。。
これを、黒と白の千鳥格子でというご希望。
いろいろな織の千鳥を探して、こちらの細かいウールの生地を選ばれました。

ボタン締め作業中。
ウレタン類も全て取り替えたので、自由に張り方をアレンジできます。
生地を折り込んでボタンを留めるのはやめて、
シンプルに二列並べるだけにしました。間隔などは、ふたりで相談。

こんな風に釘状のくるみボタンを作って、とめるんですよ。
・・・
完成!!
大きすぎて、外で撮影です。

張り地だけでなく、ウレタンでの肉付けの仕方や
パイピングの有無、マチの付け方など、ちょっとしたことで
全体の雰囲気や印象がかわるのが、面白いところです。


大変身を楽しみながらの、やりがいのあるお仕事でした。
ご依頼ありがとうございました。
2015-07-16
肘掛け椅子張り替え

お家のリフォームに合わせて、張り替えを決められたこの椅子。
もう、こんなにボロボロで恥ずかしくて、、とおっしゃいますが
ここまで使ってもらえたら椅子も本望、ではないでしょうか。
別添えの座と背もたれのクッションは、ほとんど中身のないような状態でした。
イスコ日記を見ていて、この椅子も張り替えてみたい!
と思ってくださったそう。嬉しいことです。
もういちど、ちゃんと座れるように甦らせましょう。
・・・

ふたをあけてみれば、ホコリやら細かいくずやら、わんさか出てきます。
あー、すっきりした。


脚のぐらつきも気になったので、なおそうと思ったら簡単にはいかず、
木枠をばらばらに分解して本格的に修理しました。
・・・
こんなにパリッと生まれ変わりましたよ。

ニュアンスのあるグレーの生地が、上品かつ飾らない雰囲気で
よく似合っています。
さらっとしていて、これからの季節にもぴったり。


思い出の椅子、新しい座り心地を気に入ってくださったでしょうか。
ご依頼ありがとうございました。
2015-06-11
椅子をキャンバスに。

古いアームチェアの張り替えご依頼。
こちらの1人掛けが2脚と、2人掛けと。

縁あって譲り受けられたというこの椅子を、
これで張り替えます。

絵を描くための白いキャンバス。
通常の椅子生地より硬くハリがあるので、
少し椅子の丸みに馴染みにくかったのですが、
ぱりっときれいに仕上がりました。

背もたれの後ろは、ちょうど、以前画材屋さんで
何かに使えるかもと買っておいた
キャンバス用の釘があったので、それで仕上げてみました。

さて、真っ白に張り変わったこの椅子、
本当にキャンバスにみたてて絵を描かれるとのこと。
どんな椅子になったのでしょう。

左京区の「アートライフみつはし」で14日まで開催中。
見に行かなくっちゃ。
2015-05-29
長大作のダイニングチェア張り替え

ダイニングチェアの張り替えご依頼。
もの自体はまだ新しいのですが、デザイナー長大作氏が
1953年に発表したオリジナルを忠実に再現した椅子だそうです。
ビニールレザーが汗でベタベタして不愉快とのことで
背もたれはそのまま、座面だけ布に張り替えることになりました。
無難に黒系の無地のファブリックを何点かお奨めしたのですが
それじゃなんだか面白くないなあと一点ご提案した水玉模様が
やっぱり気に入られたご依頼主のY様。
というのも、Y様は村上椅子のリピーターさん。
もう五年ほどのお付き合いになるでしょうか。
ご旅行でたまたまふらっと立ち寄られた私たちの店で、
「Re:椅子」に一目惚れされてから、椅子のことで何かあればご相談いただき、
これまでにピアノ椅子からスツール、ダイニングチェアなど
色々な椅子を張り替えさせていただきました。
その都度、候補の布を写真に撮ってはメールで送ってやりとり。
椅子をより魅力的にみせる張り替えをご提案してきました。
なので、だいたいお好みは分かってきたつもりです。
私たちのセンスをかっていただき、近くに張り替えできるところがあるのに
わざわざ広島から椅子をお送り下さるのだから、ありがたいことです。
・・・
さて、こんな風になりました。


へたってはいなかったものの少しクッションにコシがなかったので、
ウレタンを補強し、ふっくら気持ちよい座り心地に。
この椅子はぐるっと縁にパイピングが回っているのがポイントだと思います。
そこも水玉の布にするのが普通かもしれませんが、
そこはオリジナルの背もたれとの繋がりを持たせるべく
黒いビニールのパイピングを使いました。
全体がきゅっと締まった気がします。

お送りしたところ変身ぶりをたいそう気に入って下さり、
それをご覧になったご主人が、「俺の椅子も張り替えてもらいたい」
とおっしゃったとか。またはるばる大きな箱が届きそうです。