2008-03-12
なおして使う
最近感じること。
比較的若い世代のかたの、椅子の張替えのご依頼が
増えてきている気がします。
生まれる前から実家にあったらしい、という応接セットを
新しいお宅で使うため張り替えられたご夫婦。
お父様が使いこまれてぼろぼろになってしまっていた
革張りの書斎椅子を、甦らせたいと持ち込まれた女性。
そこそこの椅子が安く手に入る時代です。
それでも、決して安くはない代金を払ってでも
張り替えてまた使おうという考えの方が増えてきていることを
嬉しく思っています。
時の流れによって積み重ねられた空気というものは
お金では買えないものですから。(捨てるのは簡単ですが。)
かくいう私も、父が学生時代に使っていたという
ウン十年前の本棚を譲り受け、自宅で使っています。
一方、椅子が張り替えられるということ自体を
知らないひとも多いようです。
使い捨てではない暮らしかたを、もっと広めていければ
いいなと思っています。
2008-02-02
誰?
古い応接ソファ(40年くらいたつのでしょうか)
を張り替えるため生地をめくっていると、、、
こんなひとが現れました。
2008-01-11
座りよさのわけ
ハンス・ウェグナ-のイージーチェアを張り替えています。
オーク材のフレームに、座るところと背もたれ部分は
クッションが乗っているタイプ。
そのクッションの中身が上の写真です。
四角く作られた金属の枠の中に、直径5cmくらいの小ぶりの
コイル状のばねがたくさん連結されています。
そして、それをヘッシャン(麻の布)でくるみ、綿をかぶせ、
さらにウレタンフォームでまいてあります。
日本の椅子では、置きクッションの中身にこのようにしっかりしたバネを
使ったのは見たことがありません。
たいてい、全部がウレタンフォームの固まりか、良いものなら羽毛を使っているか。
バネの良いところは、はね返りがあり、他のものよりもちがよい
(へたらない)ところだと思います。
本体のフレームの座の部分にも、細長いコイル状の金属のバネが張られていて
(これまた日本では手に入らない)、
この、二重のクッションのおかげで心地よい沈み加減と弾力が得られるのです。
もちろん、座るところと背もたれの傾き具合や角度など、形の設計も重要です。
素材の使い方と、形、大きさ。
そのそれぞれがうまく噛み合うことで、良いデザインが完成されるのですね。
このクッションは、バネはまだ生きていたので
破れていたヘッシャンを新しいものに換え、
綿、ウレタンも新しくくるみ直して、再生させました。
利益、効率を重視して、量産向けの簡単に扱える材料ばかりが
出回っているような気がします。
手間をかけてでも、より座り心地が良く長もちする椅子を
作っていく姿勢が大切だなと、あらためて感じました。
2007-12-04
へび再生
2007-11-28
へび脱皮
またやってきました、deSede社のスネークソファの張替依頼。
またというのは、2年ほど前に一度やったことがあって、
とっても大変な思いをしたから。
このソファ、どこが特殊かというと、
張ることが特別難しいわけではなく、
素材自体が珍しいものでもない。
ただ、とってもめんどくさいのです。
まずは解体。今回は25個が連結されているので
金具とファスナーをはずしてばらばらに。
そして、一つ一つに、パーツが沢山あって、
つないだり、ファスナーをつけたり、しわを寄せたり、、、と
裁断、縫製にとても手間がかかります。
中身のクッションはまた使うので、ファスナーをあけてとりだしているところ。
前も思いましたが、なんだか幼虫みたいです。
新しい生地を縫製してまた中にこのクッションをいれ、
「クッション入りのカバー」みたいな状態になったものを
本体枠にかぶせて張っていきます。
当分ミシンを踏む日が続きそうです。