2012-12-21
天童木工の回転椅子

古い、天童木工の回転椅子の張り替えご依頼です。
赤いビニールレザーも随分かたくなってしまって
ところどころ破れています。
昔からうちにあった、とおっしゃるお客さま。
せっかくなら、がらっと雰囲気を変えてみましょう
ということに。
選ばれたのは、こんな明るい花柄。

まぶしい黄色とベージュの楕円がつらなって、
花模様をつくりだしている生地は
さすがフランスのメーカー、という華やかさ。
背もたれの裏側はベージュの無地を合わせました。

完成!

曲げ木を得意とする天童木工、この椅子のフレームも
一枚の合板を曲げて形づくってあります。
すごいですね。
よくこんな椅子作ろうと思うなあ、とイスオさん。
伸びにくい生地だったため、このかたちに沿わせて
一枚の布で張るのも、至難の業だったようです。

背もたれから座の裏にかけて、上の写真のように
縁にぐるっとピットという金具を仕込み、
それにビニールレザーを挟み込んで仕上げてありましたが
今回は手縫いにしました。
とっておきの一脚になりましたね!
2012-10-27
土手

アンティーク調の椅子の張り替えご依頼。
ダイニングチェアとしてお使いで、かなりくたびれた様子です。
めくると、こんな「土手」が現れました。

「土手」というのは、椅子のふちが崩れて来ないように
ぐるっと回してある、芯のような部分。
この椅子のモデルとなっている、
フランス、ロココ調のアンティーク椅子では、
獣毛をヘッシャンクロス(荒い麻の布)でくるんで
太い糸で縫い留めていく「ソク土手」という技法が使われてきました。
ちょうどよい画像がないため、日本式の、藁をヘッシャンクロスでくるんだ
土手の画像をのせておきます。

この技法はたいへん手間暇がかかり、技術もいるため、
量産向けに日本のこのメーカーは、上のようなゴムで成型した「土手」を
使っていたようです。
これならタッカーでパンパン、、ととめたら済むので
とても効率がよいのです。
でも、やっぱり耐久性ではかなわないようですね、
こんな有様に、、。

このかわりに新たに土手を巻くのは難しいため、
固いチップウレタンで土手をつくりなおす方法をとりました。

フランスからきた、モケット織の花のようなモチーフの並ぶ、
上品でかわいらしい生地がよく似合います。
2012-08-21
まるい回転椅子
古い小ぶりな回転椅子の張替えご依頼です。

すり切れ、色あせて、模様が見えないほど。
めくれてくるので、縁を他の布で貼付けてありました。
表面の布と古い綿を取り除いてみると
籐が現れました。

本来はこういう椅子だったのですね。
軽やかで素敵なのですが、強度的にもう限界です。
薄い板をこの形にあわせてカットし、
椅子の形のバランスにあった薄いめのクッション材をのせて
生地を張り、椅子本体に取付ける方法をとりました。

落ち着いた緑色に、植物文様がすてきです。

足の補強で入っている、丸いわっかが可愛らしく
優しい雰囲気の椅子でした。
そんな雰囲気にぴったりのご依頼主さま。
お近くとのことで、出来上がった椅子をだいじそうに
抱えて帰られました。
ありがとうございました。
2012-06-19
回転椅子

古い木製回転椅子の張り替え。
以前はしろうとさんがなおされたのでしょうか。
とてもラフに張ってあります。
クッション部分はひどいですが
フレームは傷もなくきれいで、脚の丸い輪っかがかわいいです。

これはすてきに生まれ変わりそう!
さてさて、めくってみると・・・。

ごみくず。。

バネは真ん中にひとつだけ!?
これではおしりがかわいそう。
ということで、ばねを四つに増やし、
こんなふうにうまれかわりました。

まるいかたちがかわいらしく、
座ってみるとすっぽりとはまりこみ、なんだか安心感が。
ブルーグレーの生地もよく似合っています。
後ろは鋲仕上げで。

早速この椅子に座ってお仕事されているそうです。
機能的なオフィスチェアとはまた違ったよさがありますよね。
ご依頼ありがとうございました!
2012-06-12
モケットのいす2
前々回に書いていた、いすの張り替え。
こんな風になりました。

「Re:椅子」のイメージということで、きれいな緑色のモケット生地を。
座面のテープはのびきっていたので全部とりのぞき、
ウェーブ状のバネを入れました。
肘や背もたれに入っていたクッションもすべて交換して
座り心地はぐんと向上。見た目もプリッと、
ハリのあるいすに生まれ変わりました。
ダイニングチェアながら、ちょっとしたソファのような座り心地、存在感です。
お納め先はスタイリッシュな新築住宅。
コンクリート打ちっぱなしの壁に巾の広い無垢材のフローリング、
自然光の柔らかく差し込む、広々としたダイニングキッチンの真ん中に
ふわっとした緑色が良く映えます。
青々とした芝生と大きなシンボルツリーがある中庭に面した設計で
とても気持ちのよい空間でした。
後ろ姿。

鋲の仕上げがご希望だったので
金色の鋲をポイントで使いました。

この椅子、フレームはとってもしっかり作られていて
びくともしていなかったのですが
座面は買って一年もしないうちに落ちてしまったとのこと。
古い生地をめくってみても、せっかくこんなに良い枠が作れるのに、
どうして張り部分でこんなお粗末な材料、やり方を。。。と
残念に思いました。
安い椅子なら、少しは疑っても見ますが、ある程度のものになると
値段で信頼してしまうところはあると思います。
買う時には外から見る分には中身までは分からないので、困ったものですよね。
作る側はもっと良心と責任感を持って作って欲しいものです。。