2016-11-29
食卓椅子張り替え
ちょっと懐かしい昭和の雰囲気の椅子の張替え依頼です。
デンマークの椅子のデザインに影響を受けていると思われる、日本のメーカーの椅子。
洗練されきれず、やや線が太く朴訥な感じが、親しみやすくもあります。
色とりどりの端切れで破れを繕ったパッチワークがなんとも楽しく可愛らしくて、はがしていくのがためらわれますが、、。中身のウレタンも、もうボロボロです。
今回使うのは、お客様ご指定のこの布。
何度かこの日記にも登場している、ミナペルホネンのタンバリンです。
刺繍で丸い輪っかの連なりが描かれています。
そのタンバリン柄の新しい素材、”dop” は肌触りの滑らかなモールスキンの両面使いの布で、使い込むうちに表の糸が擦り切れて裏の色が現れてくる仕掛け。劣化していくのではなく、木材や革のように経年変化を楽しむ、という新しい発想によって作られたそうです。
背もたれの曲線がきれいですね。
柄の配置は2脚同じに。また、背もたれ、背の裏側、座面の柄もそれぞれ揃えています。(当たり前といえば当たり前のことなのですが。)裁断するとき考えてとるのはもちろんのこと、伸縮のある布で立体的なものを張るわけですから、手の感覚をたよりに力加減などもうまくやらないと、美しくは仕上がりません。
お母様から譲り受けられたというこの椅子、フレームはまったく緩みもなくしっかりとしていました。「そこまでして使ってもらって椅子も幸せやなあ」とお母様。そして「結婚10周年のいい記念となりました」とのお言葉。そんな素敵な節目のお手伝いをさせていただき、とても嬉しく思います。きっとこれからまた、擦り切れて青い色が覗くまで、活躍してくれることでしょう。
こんな風にして、変身して使い継がれる椅子がもっと増えたらいいなと思ったのでした。