村上椅子

2008-01-11

張り替え

座りよさのわけ

ハンス・ウェグナ-のイージーチェアを張り替えています。
オーク材のフレームに、座るところと背もたれ部分は
クッションが乗っているタイプ。

そのクッションの中身が上の写真です。
四角く作られた金属の枠の中に、直径5cmくらいの小ぶりの
コイル状のばねがたくさん連結されています。
そして、それをヘッシャン(麻の布)でくるみ、綿をかぶせ、
さらにウレタンフォームでまいてあります。

日本の椅子では、置きクッションの中身にこのようにしっかりしたバネを
使ったのは見たことがありません。
たいてい、全部がウレタンフォームの固まりか、良いものなら羽毛を使っているか。

バネの良いところは、はね返りがあり、他のものよりもちがよい
(へたらない)ところだと思います。
本体のフレームの座の部分にも、細長いコイル状の金属のバネが張られていて
(これまた日本では手に入らない)、
この、二重のクッションのおかげで心地よい沈み加減と弾力が得られるのです。
もちろん、座るところと背もたれの傾き具合や角度など、形の設計も重要です。
素材の使い方と、形、大きさ。
そのそれぞれがうまく噛み合うことで、良いデザインが完成されるのですね。

このクッションは、バネはまだ生きていたので
破れていたヘッシャンを新しいものに換え、
綿、ウレタンも新しくくるみ直して、再生させました。

利益、効率を重視して、量産向けの簡単に扱える材料ばかりが
出回っているような気がします。
手間をかけてでも、より座り心地が良く長もちする椅子を
作っていく姿勢が大切だなと、あらためて感じました。

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