村上椅子

2012-06-29

Re:椅子

家族のための椅子 2

前回の記事「家族のための椅子1」の続き。

さて、次は生地を選んでいきます。
全くおまかせとはいえ、ご依頼主さまはお仕事柄
たくさんの良いものを見てこられ、知っておられるし
色や素材に対する知識やセンス、こだわりもお持ちです。
それにかなったものを、と思うと、、、私たちも全力投球です。。

で、できあがったのが、この椅子たち。

こう書いてしまうと、これであっさり終わってしまいますが、
この生地選びが、すんなりはいきませんでした。

ここでも、椅子選びと同様、基本的には四脚で考えるというよりは
それぞれの椅子に、どんな生地が似合うかという選び方をしていきましたが
ダイニングセットとして1つの場所で使う事も考えると、全体の調和も大切です。
まず、娘さんの好きな色と、お母さんの肌触りの良い柄物の布という
ヒントをもとに、二脚のイメージを固め、進めていきました。
その後あとの二脚に色々な生地をあわせてみて四脚を並べ、
そのうちのどの二脚ずつが並んでも違和感がないよう、じっくり考えながらの作業となりました。

・・・

最初に娘さんの椅子には鮮やかなターコイズブルーのコットンリネンが浮かんだので
あっさりそれに決定。(これがゆくゆく悩む原因となっていくのですが、、)
次はお母さんのかわいい柄物探しです。
花柄というよりは、小紋柄かな??と探すうちに、海外の生地で、
トーンを抑えた色んないろの水玉が並ぶものを見つけました。
ばっちりやわーと喜んだのもつかの間、その色は廃色とのこと。
でもこの、ぽわぽわと起毛させた水玉が捨てがたいので、
思っていたよりポップなイメージにはなりますが、色違いのカラフルな水玉のものに。
全体をこれで張ると少しかわいすぎるので、
背もたれはマットなベージュの生地をあわせました。

お次はお父さん。この椅子は渋いグリーンかブルー系を
と思っていたのですが、どうも娘さんの椅子とかちあうので
悩んだ上に濃いブルーグリーンの風合いの良い上品な生地を。
座の前の角には三つずつ、黒い鋲を打ってさりげないアクセントとしました。

息子さんの椅子は、もともとのオレンジっぽい茶色がとても印象に残っていたので
オレンジ色でいろいろ考えましたが、どうしてもまとまらないので
本体は汚れが目立たないように、濃いグレーのウール混のプレーンな生地、
上に載せるクッションは、思い切って鮮やかなレンガ色(ほぼ赤)に。
この色は、実はお母さんの椅子の水玉の中のひとつと繋がっています。

さて、出来上り!と、ここであらためて並べてみると
ずっと他の椅子の生地選びのときにひっかかってきた
娘さんの椅子のターコイズブルーが、どうしてもしっくりこないのです。。。
やむをえず張り替えようと、他を選びますが
どれもこれもうーん、、、悪くはないけど何かがちがう。
最後に白をもってくることで、やっとかわいくおさまりました。
ぽこぽことした植物模様生地です。

さて、数ヶ月ごしで完成したのこのRe:椅子。
テーブルもご依頼いただいたので田中智章さんに製作をお願いし、
セットで新築のお宅に晴れて納品です!

お父さんとお母さん

こどもたち

高い天井、大谷石の床、黒い鉄板の間仕切り壁、薪ストーブに白い螺旋階段。
天然素材を吟味して各所に使った、住宅というよりは
まるでギャラリーのようなシンプルな空間に
ぽっとあかりがともったように、家族の集いの場所がうまれました。

納品まで完全にシークレットで打ち合わせなくすすめさせて
いただいたので、お気に召すかドキドキだったのですが
満足いただけたようで、胸を撫で下ろしました。

贅沢仕様のRe:椅子。世界にふたつとありません。
これから、この場所でご家族の温かい時間が刻まれていきますように。。

ご依頼ありがとうございました!

村上椅子のHPはこちら