村上椅子

2011-05-31

雑記

続けること

今回、イスオさんが、ぽつり。
「古イス市は、ぼくたちの使命だ」と。

普段の仕事の合間に一年がかりで椅子を用意するのは
たいへんな労力(と保管スペース)がいることです。
そしてこんな話をするのもなんですが、
正直なところ、全然もうかりません。

私たちが『RE:椅子』とよんでいる、古いイス再生作業。
まず、古い椅子を仕入れて(ほとんどの場合タダではありません)、
古い生地やバネを、詰め物の藁などをはずします。
大量に打たれている釘や鋲はひとつずつ丁寧に抜きます。
そして一旦バラバラにして接着し直し、
塗装が悪い物はすべて剥がして塗り直す。
その上で、やっと張りの作業にとりかかれます。
その椅子にどんな張り地を合わせるのかを決めるのも、
なかなか難しい作業です。
(同じ椅子でもそれによってぐっと魅力的にみえたり、また
その逆だったりもするのです。)

さてこんなに手間ひまをかけても
やっぱり立派なアンティークではなく
味のある中古椅子でしかないわけで、
実際かかるだけの値段をつけたら、誰も買ってくれないでしょう。
それではせっかく椅子を再生しても意味がありません。
それで、もうからない値段をつけているわけですが、、、

それでも、『RE:椅子』をつくり続けているわけは、
一見ゴミのように見えるぼろぼろの椅子が
木部を磨き、色とりどりの布をまとうことで
息を吹き返していくのが、何より楽しいから。
そしてその楽しみを他のひとたちにも知ってもらいたい。
『RE:椅子』をとおして「椅子って張り替えて使えるんだ」
ということを、もっとたくさんのひとに広めたい。
そして、椅子を大切に使って欲しい。
そんな思いがあるのです。

古イス市をすることで、
より多くのひとに『RE:椅子』のことを知り、楽しんでもらえる。
それは椅子張り職人としての私たちのつとめではと、
いつからか思うようになりました。

そんなわけで、これからも古イス市を続けていきたいと思います。
どうぞ、お付き合いください。

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